何の前情報も見ずに、『君の名は。』から来るハードルも上げずに行きました。
エンドロールが流れたとき、「これはものすごく賛否分かれそうな作品だ」と思いました。
『君の名は。』の時から感じましたが、今回は一層時代の空気を細かに描写しています。
企業とのタイアップがかなり多かった感じがしましたが、細かな看板やサービスなども実在する名称をそのまま使っているものが多く、大人の事情というよりは”現代”を表現するために逆に利用している、という印象。
こういった表現は時代が流れれば古く見えがちなので、ここまでされると否応なしにテーマが「現代の私たちに向けたもの」に見えてきます。
なので私自身は序盤から、これはエンタメではなく現代アートのアニメ版なのではないかという意識で見てました。
純粋にアニメとして見ると、主人公たちに共感できる要素が少ない方は、イマイチだったのではと思います。
何が正しいのか、本当にそれは正しいのか、目をそらしていないか。
大きな流れの中の、今はほんの一瞬でしかない。
人間が全てをコントロールなんてできない。
「そもそも世界なんて狂ってるんだ」。
けれど、人類がどこに向かうとしてもきっとそこに愛はある。だから怖がるな。自分の目で見てちゃんと進め。
現代の閉塞感や不安に潰されそうな人たちに向けたメッセージと、現代の危うさに気付いていない・見て見ぬふりをすることへの警鐘に感じた。
主人公は客観的にみるとおかしな人なんだけれども、
おかしな人をただ排除したら世界は救われない。
目を背けずに、きちんと見て、自分の頭で考えて。
私は現代アートとして鑑賞してしまったので、風刺の感想のようになってしまいましたが、監督の過去作品を顧みると、恐らくもっと根本的で本質的な人間の性質を、普段意識したくない気持ち悪い部分まで含めて描いているのだと思います。
そして鑑賞直後は非常に満足度が高かったのだけれど、時間が経つにつれモヤモヤが止まらない。雰囲気や絵の感じは『君の名は。』に似ているけれど、以前の新海作品に戻った印象を受けました。
そういえば、エンドロールが終わる最後の最後まで、席を立つ人が恐らく一人もいなかったのですよ。
その空気を感じながら「そうだよねそうだよね分かる分かる」って泣き笑いしてました。
これホントに他の作品では滅多に見ない光景で、余韻に浸っている、というのもあったのかもしれないけど、
え、これで終わり??まだあるよね?
ちょっと最後にチラッとその後とか解釈あるよね??
っていうのが皆にあったんじゃないかなーと。
そのくらい、あとは自分で考えてね、っていうのを感じる作品で、でも見ている間は純粋に面白くて。
とても良かった。
2回目にどう感じるか、違う感想も出るのか、楽しみです。
さて、口コミを色々と見てみると、やはり賛否両論、かなり極端に分かれています。
良い作品というのは評価や解釈が割れるもの。
モヤモヤしながら、私はきっとまた観に行くでしょう。